樹木まわりのデザインデッキ。

複雑な形状と、レベル差。
溶融亜鉛めっき、リン酸処理仕上。
樹木の根を保護するために、螺杭基礎を採用。

かなり難易度の高い仕事になりました。

 

特にリン酸処理仕上について詳しく説明させてください。

10年くらい前からデザイン志向の案件で好んで使われている仕上ですが、
最近では簡単にこの仕上を、図面に指定する設計者が多い気がします。
実際にやってみた経験からすると、非常に施工者泣かせの仕上で注意が必要です。

・まず、製作寸法や形に制限があります。
・リン酸処理をきれいに仕上げるには、前工程の溶融亜鉛めっきが重要になります。
・写真のように吊りながらめっき槽に漬けるのですが、めっき槽に入るサイズにしなければなりません。
・めっきの垂れ跡が出てしまわないよう、吊り穴の位置にも気を使います。

 

・めっき槽では外側が波打つので、仕上裏面を両端にもってくるように吊りかたに気を使います。
(できない場合は、ダミーの堰板を入れます。→コストUP)
・このとき吊るサイズがまちまちだと、めっき槽に入れる回数や手間が増えるので、これもコスト増になります。

 

・めっき槽から冷却水槽に入れ、冷やしてから、手作業でバリを取り除きます。
・高熱のめっき槽からめっきが飛ぶ恐れもあり、危険で大変な作業です。安全対策も入念に行います。

 

・めっきにきれいな結晶が出ています。このように溶融亜鉛めっきの良し悪しが仕上がりに影響します。

 

・めっき後はかごに入れて工場内を移動。(雨天時などは作業に影響が出ます。)

 

・かごごとリン酸槽へ。その後さらに冷却槽で冷やします。

 

・工場の方の丁寧な作業で、きれいな仕上がりになりました。
・ちなみに薄板のほうがきれいに仕上がります。厚板やH鋼などはきれいな仕上がりは期待できません。

以上のような作業をイメージしながら製作図を起こし、工場と綿密に打ち合わせして、ようやく見積り金額が出せます。
よって、リン酸処理というのはここまでしなければ見積り金額が分からないので、「㎡いくらくらい?」とか
「キロ単価は?」と聞かれても非常に困ります。だいたい製作してからビックリするような請求金額がくる場合
もあるので、とにかく非常に高級な仕上だという認識を持っていただいたほうがよいと思います。

 

リン酸処理をしているめっき工場の方も言っていましたが、やってみないと分からないのがこの仕上で、
もちろん経験豊富な工場なので、最善を尽くしてより良い方法を取ってくれますが、
お客さんのイメージに沿わないリスクもあるということです。普通に塗装にしたほうがよい場合も多いのです。
もともとリン酸処理は塗装のための下地処理方法なのですから・・・