相模原市内を流れる道保川に架かる長さ15mほどの木橋の改修をさせていただきました。
夏には蛍も観察できる、澄んだ水に恵まれた道保川。施工には川を汚さないよう細心の注意が要求されます。
下部構造は擬木コンクリートに根巻きされた鋼構造の支柱と梁。それ以外の上部構造は針葉樹の丸太構造で、
老朽化により撤去しました。
木造部分を撤去した状況。既存鉄部は重防食塗装を施しました。
改修の方針としては、既存の橋の形をトレースしながら耐久性のある、メンテナンスしやすい橋にすること、
丸太を固定するために加工された構造部をどのように再利用するかが課題となりました。
既存橋脚に床高を合わせるために、梁・桁・根太のサイズを調整しかつ構造的に合理性のある組み合わせとします。
床板と柵は人工木でありながら天然木の風合いをもつ、リバースウッドGT(ゴムノキ積層型人工木材)をご提案し、
耐久性と景観保全のバランスの取れた計画をご採用いただきました。
柵を支える斜めの肘木は構造補強も兼ねつつ、従前の橋の面影を残すアクセントにもなっています。
格子はワイヤーとして、見通しの良いすっきりとしたデザインになりました。
従前の設計者(大工さん?)がどんな想いや考えでこの橋を作ったのか?
事前調査や解体後の状況から、そんな顔の知らない技術者と対話するように設計に取り組み、悩み、決定していく・・・
従前の状況に回復するのであればリフォームですが、再生とは従前の問題点も解決しながら現在の工法・技術で再構築すること。
全く同じものに作り直せば、同じように老朽化やメンテナンスの問題を引き起こすはずです。
従前の技術者に敬意を表しながらも、我々なりのアイデアや技術を付加してアレンジしていくこと。
改修という仕事はつくづく面白いと感じました。
改修のお話を頂いてから短期間でしたが、元請様、工事関係者チームの頑張りにより完成にこぎつけました。
お疲れさまでした!